理不尽な上司への怒り
わかってくれないパートナーへの怒りもしくは寂しさ
こういった嫌な感情を消したいと思うのは人間として自然なことです。
こんなときあなたはどうしますか?
気にしないようにする?
なかったことにする?
趣味などでストレス発散をする?
嫌な感情を消したいと思ったとき、どう考え、どう行動すればよいか、というお話をしようと思います。
嫌な感情を消そうとするとどうなるか
結論から言います。
嫌な感情を消したいと思ったときにすべきことは、
自分のどんな感情も否定せず受け入れることです。
なぜなら、感情は消そうとして消せるものではないからです。
脳は快を求め不快を避ける(快不快原則)
という原則があります。
嬉しい、楽しい、気持ちいい、安心、といった快の感情を求め
怒り、悲しみ、孤独、恐怖、恥、といった不快な感情を避ける
この脳の機能により人類これまでは、危険な行動を避け、安全な選択をすることで、子孫を繁栄させてきました。
快の感情は自分を前に進めるもので、不快の感情は危険から自分を守ってくれるものであり、いずれも大切なものです。
しかも、感情は抑圧して我慢していると様々な問題が生じてきます。
問題が悪化する
例えば夫からモラハラを受けている女性がいたとします。
毎日、心無い言葉を投げかけられたり、無視されたりと、精神的に追い詰められている状況が続いている。
そんな人が自分の、怒り、悲しみ、恐怖などを我慢していたら・・・
この嫌な感情がなくなればいいのにと考えて、自分の嫌な感情を抑え込んでいたとしたらどうなるでしょうか?
おそらく、モラハラはもっとひどくなるでしょう。
なぜなら、
「何も言わないということは文句ないんだよな?」
とモラハラ夫は考えるからです。
職場でのパワハラやセクハラも同じです。
自分の嫌な感情を抑え込んでいると、問題解決どころか、さらに問題を悪化させてしまいます。
そして自分の感情を抑え込んでいると、問題の悪化どころかもっとつらい状況になります。
それは・・・
自分が嫌いになる
自分の感情を抑え込んでいると自分が嫌いになります。
どういうこと?と思われたかもしれませんので説明します。
感情というのは自分の内側から自然に湧き上がってくるものです。
「嫌だと感じよう!」
とか
「楽しいと感じよう!」
とか
考えて感じているわけではありません。
自分の内側から湧き上がってくる自然な感覚であり、それが自分の本音なのです。
ゆえに、感情を消そうとすることは、
「こんなことを感じている自分はダメだ、いらない」
と自己否定することと同じだと言えます。
感情=自分自身
感情の否定=自分自身の否定
ということを覚えておいてほしいと思います。
さて、自分を嫌いになると連鎖的に起こることがあります。
それは・・・
人が嫌いになる
自分が嫌いな人は、人が嫌いになります。
話がぶっ飛び過ぎでいるので、順を追ってお話します。
自分が嫌いな人の思考回路ってどうなっていると思いますか?
自分が嫌いな人は自分のことをだめだと思っています。
そして、こんなだめな自分が人から受け入れられるわけがない、愛されるわけがないと考えます。
このように、
自分の中にある感情を外の人が持っているに違いない、と考える心の動きのことを心理学用語で「投影」といいます。
さて、この投影が起こるとどうなるか?
こんなだめな自分は人から嫌われるに決まってる、と考えて自分の本音や本当の自分を隠そうとします。
自分を隠して人と付き合っていると、「本当の自分」と「外に見せている自分」の差が大きくなっていきます。
「本当の自分」と「外に見せている自分」の差が大きくなればなるほど、
「本当の自分」がバレてしまったらどうしよう
という恐怖が大きくなっていきます。
するとどうなるでしょう?
人と関わるのが怖くなって、人が嫌いになります。
本当は心の底から欲しがっているはずの人との関わりを、自分から遠ざけてしまいます。
以上が、嫌な感情を消そうとしたときに起こることの一連の流れです。
これって私たちが求めていることでしょうか?
人間というのは不合理な生き物で、問題を解決したいと願いながら解決とは真逆の行動を取っていることが多いです。
嫌な感情を消そうとすると、問題が悪化し、自分が嫌いになり、人が嫌いになってしまう。
そうなってしまいたくないなら、
嫌な感情は消そうとせず受け入れることをおすすめします。
自分のどんな感情も否定せず受け入れる
嫌な感情は消そうとせず受け入れることをおすすめする理由は、
感情というのは感じきることができれば、それ以上出てこなくなるからです。
脳は、まだ終わっていないことを記憶にとどめておいて、強く意識してしまう、という特性があります。
「まだ終わっていないこと」を心理学では「未完了」といいます。
嫌な経験や嫌な感情を未完了のまま残しておくと、いつまでたっても記憶に留まりつづけ、何度も意識してしまいます。
だから、嫌な感情はとことん感じきることをおすすめするのです。
感情を感じきる方法としては、
言語化する
というのが手軽でやりやすい方法です。
紙に書き出す、人に話す、ひとりでつぶやくなど色々あります。
怒り、憎しみ、みじめさ、無価値感、孤独
どんな感じたくない嫌な感情も否定せず受け入れていきます。
私の例を挙げると、私は毎日寝る前に日記を書いています。
2008年から書いているので今年で16年目になります。
その日あった嬉しかったこと、嫌だったこと、感じたこと、考えたこと、などなどフリーテーマです。
誰にも読まれない前提で書いているので、その内容はなかなかひどいものも多く、決して人には見せられません。
デスノートのようになる日もあります。
それでいいというか、だからこそ意味があると思っています。
体感として日記を書くと、
「よし!今日はこれで終わり!」
と自分の中で区切りをつけることができて、すっきりした気分で眠れます。
それでも自分ひとりではどうしてもすっきりしない気持ちというのはあると思います。
私もあります。
そういうときは、友人など信頼できる人に話を聞いてもらうのがやはり一番すっきりのではないかと思います。
日本ではあまりメジャーではありませんが、心理カウンセラーや心理セラピストに相談するというのもいい方法だと思います。
自分の中のどんな感情も否定せず受け入れる
言葉にすると簡単ですが、実践するのは難しいと思います。
しかし、
自分のどんな感情も受け入れるということは、少なくとも自分だけは自分の味方でいる
ということです。
感情=自分自身
感情の否定=自分自身を否定すること(自己否定)
感情の肯定=自分自身を肯定すること(自己肯定)
と考えて、感情をそのまま受け入れていこうと私自身思っています。
数年前から流行っている「自己肯定感」というものも、こういった日々の積み重ねから生まれるものだと私は考えています。
【参考動画】
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