夫婦関係が崩壊する定番パターン【岡田尊司『夫婦という病』感想】

ブログ

『愛着障害』で有名な岡田尊司先生の著書

『夫婦という病』

を読みました。

めちゃくちゃおもしろかったです。

一気読みでした。

(自称)夫婦問題研究家の私にとってはバイブルになりそうな予感がしています。

さて、なぜ私がこの本を読もうと思ったかと申しますと、

幸せになるために一緒になったはずの男女が、なぜ憎しみ合うようになるのか?

なぜそのような悲劇がいたるところで起こっているのか?

そして、愛着障害が夫婦関係に及ぼす影響について知りたかったからです。

読み終わった感想は、

夫婦関係が崩壊する定番パターンがあるんだな、ということに気づきました。

今回は、読んでみて気づいた、夫婦関係が崩壊する定番パターンや印象に残ったこと、感想についてお話しします。

夫婦関係が崩壊する定番パターン

結ばれて数年でお互いを攻撃し合い、お互いを責めるようになる夫婦は意外と多いです。

それはなぜなのか?

そこには夫婦関係が崩壊していく定番のパターン、プロセスがあります。

妻が夫に失望し、夫を責めるようになる

まずはじめに起こることが多いのは、妻が夫に失望するということです。

仕事で帰りが遅い

家事に協力的でない

子どもに無関心

自分の趣味にばかり没頭している

・・・

挙げはじめるときりがないが、昔は許せたことでも少しづつ不満が溜まっていきます。

その不満とはなにか?

それは、

「私の気持ちをわかってくれない」

という、さびしさ、悲しみです。

さびしさや悲しみを抱えつづけるのは、非常につらいことなので、

さびしさや悲しみを、怒りにすり替えます。

「私のことをわかってくれない夫が悪い」

直接的な言葉で伝える場合もあれば、不機嫌や無視といった間接的な態度で不満を表現する場合もあります。

責められた夫が逆ギレする、または関わりを避ける

責められた夫からすれば、

「いつも通りの生活していたら、突然、妻に責められた」

と感じます。

一方、妻からすれば、決して突然などではないのですが、夫はそうは思いません。

「突然、責められた」

「妻は変わってしまった」

そう感じた夫がとる行動は大きく2パターンあります。

どちらを取るかは夫の性格と夫婦の組み合わせによります。

①逆ギレするパターン

すぐにカッとなったり、自分の非を認めないタイプの夫の場合や、妻が気弱な場合、

「おれが何したって言うんだ」

と逆ギレします。

人によっては暴言、暴力を振るう場合もあります。

②関わりを避けるパターン

自分が悪かったんじゃないかと考えたり、争いが苦手なタイプ、そもそも人間関係を煩わしいと思っているタイプの夫の場合や、妻が他責的なタイプの場合、

「ケンカするのもめんどうだし、さらに何か言われるのもイヤだし、そっとしておこう」

と考えて、そっと関わりを避けるようになります。

争いを避けるために、お互いに無関心になる

逆ギレパターンも、関わりを避けるパターンも、そのような状態を続けていくうちに、夫婦ともに疲弊していきます。

そのうちお互いに、

「これ以上争いたくない。エネルギーの無駄遣いをしたくない」

「どうせわかり合えない」

と考えて、お互いに対して無関心になっていきます。

そして最終的には、

他人以上に冷たい関係になる

このような悲惨な状態に至ってしまうのはなぜだろうか?

ここからは、仲の良かった夫婦が、上記のような悲惨な状態に至ってしまう原因についてお話ししたいと思います。

夫婦関係が崩壊する原因

夫婦関係が崩壊する原因を説明します!

とは言っても、原因は千差万別、夫婦ごとに違うことを断った上で、あえて1つあげるとしたら、

お互いに優しさを与え合う、というステージに立てていないから

ではないかと思います。

「ちょうだい、ちょうだい」

「おれを見ろ、認めろ」

「わたしを見て、愛して」

ということをお互いがやっているので、妻も夫も欲しいものが得られず、相手に対する失望を深めていくのです。

誰もが優しさなしでは生きられないから、それを与えてくれずに、逆に責めてばかりいるパートナーに対して嫌気がさし、そんな人生に我慢することが耐えられなくなっている。嘆きと怒りを爆発させ、ますます関係をこじらせ、ついには離れ離れになっていく。

岡田尊司『夫婦という病』

ではなぜ相手に求めてばかりで、自分から与えようとしないのか?

それは端的にいうと、

精神が子どものままで止まっているからです

精神が子どものままで止まってしまう原因

精神が子どものままで止まってしまう原因は、幼少期に適切に甘えるという経験ができなかったということが考えられます。

  • 親が支配的で厳格な家庭だった
  • 親が子どもの気持ちを軽視する人だった
  • 気持ちに寄り添う共感的な関わりをしてもらえなかった
  • ネグレクト(無視)
  • 養育者のたび重なる変更

このような環境で育つと、いわゆる「愛着障害」といわれる状態になり、

人と適切な距離感で絆を結ぶことが困難になります。

なぜそうなるかというと、

子どもの頃に満たされなかった思い・欲求を、大人になってからも目の前の相手に満たしてもらおうとするからです。

「甘えたい」

「一番に見てほしい」

「愛されたい」

という思いを無意識に、目の前の相手に求めてしまうのです。

こういった幼少期に満たされなかった思いは、身近な相手にほど求めてしまうという傾向があるため、

特に夫婦関係や恋愛において、問題が起こりやすいのです。

人は優しさなしでは生きられない

人は優しさなしでは生きられない

などと言ったところで、現代では陳腐なきれいごとと思われるかもしれません。

しかし、この本を読み終えたいま、

人とのつながり、優しさはなにより重要

そう思わざるを得ません。

欲しくて欲しくてたまらないから、相手を責める。

欲しくて欲しくてたまらないから、それが手に入らない状況に耐えられず、相手から離れていく。

優しくしてもらえないからと、そっぽを向き、相手を責めたところで、優しさは手に入らない。しかし、自分から与えようとすると、求めていなくても、自然に与えられるようになる。

岡田尊司『夫婦という病』

自分が優しさを求めているのと同じように、相手もそれを求めている。

であれば、まずは自分から与えてみよう。

それも難しいというのであれば、

なぜ自分から与えることができないのだろう?

与えてしまったら何が起こるのだろう?

と自分に問いかけてみることから始めてみるとよいかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました