やりたいのにやれない
言いたいのに言えない
近づきたいのに近づけない
信じたいのに信じられない
変わりたいのに変われない
「~したいのにできない」という悩みを持つことは多いのではないかと思います。
自分はやりたいはずなのに、行動や変化を起こすことができないのはなぜ?
今回はそんな問題を抱えてしまう仕組みについて、私の経験を交えてお話したいと思います。
あなたの行動を支配しているのは意識ではなく無意識
結論から言うと、
あなたが行動を起こせない理由は、あなたの無意識が行動を止めているからです。
無意識ってなに?と思われた方もいるかもしれませんので説明します。
人の意識は大きく分けて、意識と無意識があるといわれています。
意識というのは、思考や言語、理論などの自覚できる意識のことで、自分で制御することができます。
顕在意識ともいいます。
ざっくりとしたイメージでいうと、
意識=思考
といってもいいかもしれません。
特徴は、ゆっくりで、論理的で、それほど強くない、という点です。
一方で、無意識というのは、感情や感覚などの自覚していない・自分では制御できない意識のことです。
潜在意識ともいいます。
ざっくりとしたイメージでいうと、
無意識=感情・感覚
といってもいいかもしれません。
特徴は、高速で、感覚的で、強力である、という点です。
ここで大事なのは無意識の力は非常に強いという点です。
割合でいうと意識が5%、無意識95%くらいと言われています。
(この割合についてはそれぞれの本によって違うことが書いてあります。まあ、たしかに数値化できるものではないので、ここでは無意識が意識より圧倒的に大きく強いということが重要。)
人間の思考、意思決定、行動はこの強力な無意識に大きな影響を受けています。
ゆえに私たちは、
意識でいくら行動しようとしても、無意識がやりたくないと思っていたら行動を起こせません。
私たちは意識と無意識が一致していなければ行動を起こせないのです。
例えば、あなたに嫌いな上司がいたとします。
話が長くて、話の内容も自慢や説教くさいことばかり。
その上、気分屋で、自分の意見が通らないと不機嫌になる。
そんな人のことを好きになれますか?
いいところを意識的に探して、嫌いにならないように意識して笑顔を作って、それで好きになれそうですか?
たぶん無理だと思います。
どんなに思考で感情・感覚を変えよう頑張ったとしても、強力な無意識、感情・感覚に勝つのは難しいです。
私の例を挙げると、過去にとても苦手は上司がいました。
その人はとても仕事のできる人でした。
仕事に対しては非常に厳しいのですが、仕事が終われば和やかで人間味もあって、人望の厚い人でした。
なのに私はどうしてもその上司のことが苦手でした。
その上司の前に立つと緊張で頭の動きが悪くなり、ぎこちない話し方になっていました。
「ダメな自分を見透かされている」という感覚
これがどうしてもなくなりませんでした。
頭ではいい人だとわかっているのに、身体が火災報知器を鳴らしているような感覚でした。
そして、感覚的にはわかっていました。
この感覚は父親に対して感じていた感覚だと。
無意識はどのようにして形作られるか
私たちの無意識、感情・感覚は、これまでの人生の経験によって形作られます。
特に、6歳くらいまでの経験、記憶が基礎になるといわれています。
なぜかというと、
快・不快や喜怒哀楽などの感情をつかさどる脳の部位である大脳辺縁系の成長の大部分が、6歳くらいまでの幼少期だからです。
6歳以降は理性や思考をつかさどる脳の部位である前頭葉も発達していきます。
幼少期に経験した記憶と身に付けた認知パターンは生涯にわたって影響を及ぼします。
例えば、父親から怒鳴られて否定されてきた人の場合、大人になっても、人が怖かったり、目上の高圧的な人に対して恐怖を感じて、自分の意見をいうことができなくなるかもしれません。
逆に、両親から気持ちを大切にするような関わり、共感や優しさを十分に受けてきた人の場合は、大人になっても過度に人を怖がったり、過度に緊張したり、否定的なイメージは湧いてこないでしょう。
同じ出来事だったとしても、人によって感じ方・とらえ方が変わってくるのは、各個人の人生経験が異なるからです。
幼少期の経験・記憶は生涯にわたって影響を及ぼし、その人の人生を左右するほどのインパクトがあります。
幼少期の関わり方だ大事だといわれるのはこういった理由からです。
先に挙げた私の上司に対する恐怖の感覚、あれは完全に父親に対する感覚と同じでした。
私は幼少期から就職するくらいまで、父から「お前の考えは甘い」「お前はまだまだだ」といったような否定的な扱いを受けることが基本でした。
父に怒られるのが怖くていつもビビっていました。いま思うとムカつきますが。
そのため、大人になっても、高圧的な人を前にするとその過去の感覚が湧き上がり、緊張を感じて萎縮してしまっていたのです。
じゃあ、幼少期に不適切な関わりをされていた人は一生悩み続けなければならないのか?
そんなことはありません。
これまでの人生で、
やりたいことがやれなかった
変わりたいけど変われなかった
のだとしても、
これからの人生は自分で変えていけます。
行動を起こすためには感情・感覚を変える
ここまでの話をまとめると、
- 行動を起こせないのは無意識が行動を止めているから
- 無意識の力は意識より強い
- 意識でいくら行動しようとしても、無意識がやりたくないと思っていたら行動を起こせない
- 意識と無意識が一致していなければ行動を起こせない
- 無意識を形作るのは過去の記憶、特に6歳までの幼少期の記憶
幼少期の記憶が現在に影響を及ぼしているなら、もう取り返しが付かないと考えてしまいそうですよね。
大丈夫です。方法はあります。
結論からいうと、
行動・変化を起こすためには、考え方を変えるのではなく感情と感覚を変えればいいのです。
感情・感覚を変える?変えられるわけないでしょ?
と思われたかもしれません。
確かにその通りです。
感情・感覚は変えようとして変えられるものではありません。
しかし、その変えるのが難しい感情・感覚を変える方法というのが、私が現在勉強中の心理セラピーです。
心理セラピーの中では、まず自分どんな感情・感覚を感じているのかに気づき、それを認め、受け入れることから始まります。
次にその感情・感覚を持つに至った原因を探ります。
そして最後にその原因となった経験、いわゆるトラウマ体験の記憶を安全なものに書き換えていきます。
平たい言葉でいうと、心理セラピーによって過去に傷ついた心を癒し、心の安心を取り戻していくということです。
私自身が心理セラピーのセッションを初めて受けたときは、先に述べた上司に対する過度な緊張を感じていた時期でした。
詳しいことは言えませんが、セッションの中で上司に対する感覚と父に対する感覚がリンクしていることを再確認し、そのリンクを切るためのセラピーをしてもらいました。
驚いたことに、そのたった1回のセッションで上司に対する恐怖の感覚が10分の1以下になりました。
トラウマを扱っていただいた経験から実感したことは、トラウマは脳の本能をつかさどる部分に刻まれた恐怖の記憶であり、これは一人で解決できるものではないということ。
しかし、トラウマを解決すれば自分の中の感覚が変わり、行動を変えることができる、ということです。
そして思いました。
私も心理セラピーをできるようになりたい
9月からは心理セラピストになりたい人だけが集まってトレーニングを行う、10ヶ月間のトレーニングコースに参加する予定です。
それまでに基礎知識を復習し、感じたことや心に残ったこと、誰かの役に立ちそうなことを、このブログで公開していこうと思っています。
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