自分の子どもをかわいいと思えない
そんな自分は親としてダメだと自己嫌悪してしまう。
他にも、自分の子どもに対して、
- 興味が湧かない
- 関わりたくない
- 離れていてほしい
- 嫌いになりそう
などと思ってしまい、
自分は子どもを愛せていないのでないか?
私はダメな親なんじゃないか?
親として失格なのではないか?
と思い、自分を責めてしまう
このようなお悩みをお持ちの親御さんは、意外と多くいらっしゃいます。
「親は子どもに対して自然に愛情を持ち、自然にかわいいと思うもの」
そう思っていたからこそ、思い描いていた理想の親子像と自分の感情・感覚とのギャップに苦しまれているかもしれません。
自分自身、子育てが大変で余裕がない、でも子どもへの影響も心配・・・
今回はそんな、自分の子どもをかわいいと思えない人の心理についてお話ししたいと思います。
自分の子どもをかわいいと思えないのはつらい
自分の子どもをかわいいと思えない、というのは人によって程度に幅があるように思います。
子どもと関わるのが少し億劫で、子どもをかわいいと思えないときがある、というレベルから、
子どもの顔を見るのもイヤで、子どもが近づいてきても冷たくあしらってしまう、というレベルまで幅広いです。
子どもをかわいいと思えないと感じている親御さんの特徴として、
罪悪感を感じている
という人が多いです。
子どもがかまってほしくて近づいてきても、子どもの期待に応えられないし、子どもの行動がいちいち気になって、
私の気持ちをかき乱さないで
と思ってしまう。
そんな自分はおかしいんじゃないか?
もっと子どもに寄り添ってあげたほうがいいんじゃないか?
でも、できない
頭ではわかっているけど、気持ちがついていかない
こんな感じで、頭と心、思考と感情が一致しないことに困られている印象があります。
親とはこうあるべき、子どもにはこう接するべき、といった理想像と、
現実として、自分が子どもに対して感じている感情・感覚が相反するものであり、
- かわいいと思えない
- 嫌い
- イライラする
- めんどうくさい
- 興味が持てない
- 近づかないでほしい
- 愛情が持てない
そういった感情を持つ自分を責めてしまう、そんな状態かもしれません。
これはとてもつらいと思います。
自分の子どもをかわいいと思えない人の心理
完璧主義
自分の子どもをかわいいと思えない人によくある特徴として、完璧主義であることが挙げられます。
白か黒か、0か100か、全か無か
といった白黒思考を持っており、少しでもダメなところがあると、自分はダメな人間だと思い込んでしまうタイプの方が多いです。
なので、少しでも子どもをかわいいと思えない自分は良くない親だ、と思い詰めてしまいやすいのです。
もしくは、この完璧主義が自分に対してではなく、外側に向くタイプの人であれば、
自分が子どもをかわいいと思えないのは、
- 子どもが私をイライラさせるからだ
- 言うことを聞かないからだ
- 子どもが悪い
と子どもを責める思考になっているかもしれません。
いずれにせよ、完璧主義という点は同じで、曖昧さや矛盾を受け入れられないのが特徴です。
子どもをかわいいと思えるときもあるのに、かわいいと思えないときがある自分ばかりが気になってしまっている状態です。
- 人を嫌う自分
- ずるい自分
- 腹黒い自分
など、自分の中にあるネガティブな一面を受け入れられない人が完璧主義に陥りやすいといえます。
自己否定が強い
完璧主義に併存する特徴として、自己否定が強いという特徴があります。
自己否定とは、自分自身の存在を受け入れることができず、自分で自分を責める思考のことです。
自分の中のダメなところを探しては、自分はダメだと否定してしまうのです。
自己否定が強いと何が起こるかというと、子どもが言うことを聞かなかったり、思い通りに動いてくれないと、自分が責められているような感覚になります。
これは何が起こっているかというと、自分で自分のことをダメだと思っているので、周りの人もそう思っているに違いないと考えてしまう、ということが起こっているのです。
このように、本当は自分が感じていることを、自分以外の人も同じように感じているに違いない、と考える心の動きのことを「投影」と呼びます。
投影は、普段から自分の感情を抑え込んで、我慢している人に起こりやすいです。
責められている感じがしていると思いますが、本当に自分のことを責めているのは自分自身なのです。
また、自分自身を否定して、嫌っているため、自分に似ている子どもに嫌悪感を抱いてしまう親御さんもいます。
孤独感を抱えている
人とのつながりを感じにくい、孤独感を抱えている人も、子どもをかわいいと思えない人が多いです。
なぜなら、本当は自分自身が欲しくてたまらない人とのつながりや安心感を、子どもは遠慮なく求めてくるからです。
子どもは無邪気に親を求めて近づいてきたり、欲求を自由に表現してきます。
親自身が孤独感を抱えていて、いつもどこかさびしさを感じている、人と安心してつながっている感覚が薄い場合、
自分自身が本当は求めているものを、遠慮なく求めてくる子どもを目の前にすると、猛烈な怒りが湧いてきたり、冷めた気持ちになったりしやすいです。
その深層にある心理は、
うらやましい
本当は私が一番大切にされたい
です。
ではなぜ、完璧主義、自己否定、孤独感といった問題を抱えてしまうのでしょうか?
ここからは上記の問題を抱えてしまうに至る原因についてお話しします。
自分の子どもをかわいいと思えなくなる原因
自分の子どもをかわいいと思えなくなる原因は、幼少期の親子関係、養育環境による影響であることが多いです。
親との関わりで傷ついてきた過去がある方が非常に多く、いわゆる愛着障害と呼ばれる状態である場合がほとんどです。
愛着障害とは、親との関係の中で、心の安心・安全の土台となる愛着を築きそこなったことにより、情緒や対人関係に問題を抱えやすくなっている状態です。
愛着障害を抱えるに至る要因については多岐にわたりますが、ひと言で言うと、
親から共感してもらえない環境で育った
ことであるといえます。
幼少期に共感してもらうことは、子どもの心の成長にとって非常に大切です。
なぜなら、子どもは親から共感してもらうこと、つまり気持ちを理解して受け入れてもらうことによって、自分の存在が受け入れられていると実感でき、自分の存在を肯定的に捉えられるようになるからです。
しかし、幼少期に親から共感してもらえないばかりか、感情や欲求を出すと怒られたり、無視されてきた人、親の精神が不安定すぎて自分の感情や欲求を出すどころではなかった人は、
「こんな気持ちを持ってはいけないんだ」
「こんな気持ちになる自分が悪いんだ」
と無意識に自分の感情や存在をよくないものだととらえるようになり、自分の感情・欲求を押し殺すことになります。
しかし、親に対して感じていた、
- 優しくしてほしい
- 大切にしてほしい
- かまってほしい
- 守ってほしい
- 助けてほしい
- わかってほしい
といった感情・欲求は、押し殺したとしてもなくなることはなく、満たされないまま心の傷となって残ります。
このように満たされることなく、脳内に残ったままになっている過去のことを、心理学では、「未完了」という言葉を使います。
広い意味でのトラウマにあたります。
自分自身が、未完了のまま残っている感情・欲求、心の傷、トラウマを脳内に抱えていて、本当は自分が助けてほしい状態なのに、目の前の子どもが、
あれがしたい、これがしたい
あれがいや、これがいや
見て、かまって、だっこして、認めて
と来られたら、
「これ以上、私に何を求めるんだ!!」
と感じて、子どもをかわいいと思えなくて当然です。
ざっくりではありますが、この一連の流れが、子どもをかわいいと思えなくなる原因です。
ではこの問題を解決するためにはどうすればよいのか、という話をしていきます。
自分の子どもをかわいいと思えない問題の解決に向けて
自分を責めない
まずしていただきたいことは、
子どもをかわいいと思えていない自分の気持ちを否定せず受け止める、自分を責めない
ということです。
なぜなら、自分の自然な感情を否定して、自分を責めれば責めるほど、その気持ちに意識が向いてしまうからです。
そして、かわいくない子どもの言動により意識が向き、嫌悪感や怒りが増幅していきやすくなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
なのでまずは、子どもをかわいいと思えない自分の気持ちを否定せず受け止める、ということをしていただきたいです。
心の傷、トラウマを癒していく
次に、
傷ついてきた過去の心の傷、トラウマを癒していく
ということが非常に大切です。
自然に湧き上がってくる感情はネガティブなものであれ、ポジティブなものであれ、考え方や行動を変えることによって変えられるものではありません。
嫌いな人を無理矢理好きになろうしても好きになれないのと同じです。
かわいいと思えない子どもを、かわいいと思おうとしても難しいことは、痛いほど感じておられると思います。
ですので、この問題で大切になってくることは、かわいいと思えない心理の根本にある未完了の心の傷、トラウマを解決することです。
私自身の話をしますと、もともと子ども好きで、かわいいと感じるタイプではあったのですが、あるとき心理セラピーを受けて以降、子どものことがさらにかわいいと思えるようになりました。
胸がきゅーーーん、として、
「かわいいいい」
「ありがたいなあ」
という気持ち、幸せな感覚が、体の内側から、じわーーーっと湧いてきたのを体感として覚えています。
自分の子どもをかわいいと思えない人へのメッセージ
正直、どんなときも子どもをかわいいと思うことなど不可能だと思います。
なぜなら子どもは、親の事情に関係なく好き勝手に動き、親のやりたいことをいちいち中断してくるので、親は我慢しなければならないことばかりだからです。
子どもに対して、イライラすることがあるのは当たり前ですし、めんどうくさいと感じたり、かわいくないと思うことがあるのは当然のことだと思います。
かわいいと思うときもあれば、
嫌いだと思うときもある
めんどうくさいと思うときもある
イライラするときもある
でもこの子の親になれてよかったと思うときもある
色々な相反する感情を、子どもに対して持っている
そんな親である自分を、自分で受け入れられるようになれたらいいのではないかと思います。
自分の子どもをかわいいと思えないという問題は、親自身が幼少期に傷ついてきた過去があることがほとんどです。
あなた自身が幼少期に感じてきたつらい思いを子どもにさせないために、
さびしさ、悲しみ、怒り、絶望を、
子どもに引き継がないために、
自分の代でこの負の連鎖を終わらせるんだ
と思っていただけたら、この記事を書いた意味があったといえます。
ぜひ、心理カウンセリング、心理セラピーで、心の傷、トラウマ解決のお手伝いをさせていただければと思います。
がんばるお父さんお母さんを応援しています。
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